連載回顧録18 師匠!競技中ですよっ!(泣)

2014年04月17日 20:02

あれは、とあるグレ釣りトーナメントの東海地区予選で式根島の磯に上がった時の事です。幸いにも?不幸にも、う~~~ん、どっちが正解かは未だに解りませんがぁ、とある1級磯に内田先生、オイラ、オイラの倶楽部員3人ともう1人の合わせて6人が乗った時の事です。

グレ27cm以上の総重量での戦いだったんでありますがドショッパツの場所決めジャンケンでは、師匠に敬意を表し、遅出しジャンケンで臨んだ我らが内田門下生チームに対し、たった一人で乗り込んできたゲスト参加者の本気モードとの争いが現実的な結果として現れ、1番決定権者はそのゲスト、2、3番は倶楽部員、4番が師匠、オイラが5番、もう一人の倶楽部員がドベという事にあいなりました(笑)。おい!どこが遅だしじゃ?(笑)

で、その1番のお方は、え~~~っ!そ、そこでいいの!?って誰もがウッカリ声を出して聞き返してしまいそうな、本流がドッカ=ン!ってブチ当たって来る当て潮の先端を選び、なので、その気が変わらないうちにオイラん所の2、3番の奴らが多少お互いに窮屈な思いをしつつも本流を流して行ける両サイドを難なく分けあったんですがぁ、、、、、(笑)。

4番めの師匠が選ぶ番となって、

「ほしたら俺、その間んとこ入るわ。」と曰わくっ!

え!ややっ!チョット待って、この2人がお互いに窮屈なのを百歩譲ってでも我慢してここでやるって言ってるのに、更にその間に入るって!いやいや師匠、それはいくら何でも、、、、、? 本気で?

つまりそのぉ、たった3m弱位の小さなスペースに3人並ぶって事っすか!確実に半身の態勢ですけどっ?1歩間違えば将棋倒しにさへ成りかねない大混雑ですよ~っ!?(笑)。

「おん、ええよ~、試合だでね、倶楽部で遊びの釣りしに行くのとは違うんやで気を遣わんといて。OK,OK! 俺は狭くても全然平気やでね、大丈夫だで(笑)。」って、師匠(*゚▽゚*) 

そんな意味じゃないんですけどぉ、、、、

 

こんな所にまでオイラなんぞはトーナメンターとしてのハイエナ魂を垣間見たような気がして心引き締まるものを感じたりしちゃったんですがね。すごいなぁ、ルールに定められていない部分は徹底的に貪欲に上手く活用しまくる。これこそ毎回勝ち上がって行く結果につながってるんだろうなぁって、己の弱さにさへ気付かされちゃいましたよ。

で、オイラが選んだ場所は、もう選べるような状況にも無かったので磯裏の、表の反転流が入って来る所。最後の一人はその少し下って感じでした。

試合の参加者も多く予選って事もあって、午前7時の申し合わせ時間に一斉に試合開始であります。

 

ど初っ端からコマセに乱舞する30cmクラスのグレをポンポン掛けまくって行くのは案の定お師匠さん。それも、今まで見た事も無い位の弾丸攻撃で全員を圧倒する勢いであります。1番良い場所に入った倶楽部員2人はどうしても本流に目が行ってしまい、釣り人の習性的に流して沖で掛かる良い型を狙ってしまうのですが、流石は師匠!その合間に立って、餌盗りと一緒にバンバン湧き返してるキープギリギリのサイズを無駄な時間を一切省いて釣り上げて行きます。カツオの1本釣り漁師と言いますか、野球の千本ノックと言いますか、なんせもう腕の違いは別格です。

オイラの倶楽部員達はポツポツって所で、どうでしょうかねぇ、師匠の3~4分の1ってペースがやっとこさです。

試合時間も折り返しを過ぎてしまい、この時点で多分師匠は8~9Kg,オイラ達で3Kg前後、で、ゲスト君は未だゼロって所

でありました。でもここからが凄かったんですよ!このゲスト君!(*゚▽゚*)

 

試合前に彼と話してたんですがまだ磯釣りを初めて間もないとの事で、試合に参加したのも今日が初めてですし、こうした表磯に乗るのも初体験、で、よくよく聞いたら、磯釣りもまだ数回目との事。何だかそんな事聞いてしまうと自分がこの釣りを始めた時の気持ちと重なってしまって、とても初々しい気持ちになってたんでありますが、すごい現象が起こってしまったんでありますよ!(^O^)

本流の勢いが少し緩んできた頃、おそらくこの磯際に着いていたのであろう大型グレ達が、潮上に向かって顔を出して来たのでしょう、致し方なくどうやっても仕掛けが際に張り付いてしまう彼の刺し餌に食い気を見せて来たのであります!

「ウワーッ!あぁ!あっ、、、、、切られたぁ、、、、、」

「ヒャーーッ!、、、、、またダメだぁ、、、、」

2、3投に1回はヒットして来るんですがいかんせん、彼の技術ではどうしようも無くプッツンプツンと切られまくりです。竿のしなりから見ても、おそらく50cmは超える尾長ばかりでありましょう。競技規則からしてどうする事も出来ません。オイラ達にしてみれば是非とも替わって欲しい限りなのではありますが、、、指を咥えて見ているだけなのであります。

 

「何だの、あんたどえらいいいチャンスなのに全然ダメかね?勿体無いねぇ!どえらい悔しいだろ?(笑)」

いきなり歯にものきせず師匠の温かい声が掛かります(きっと本当は余裕のよっちゃん的発言なんでしょうが)。

「プライベートの釣りだったらチョット代わってみぃ!って教えてあげるんだけどね、今日は試合だでそれも出来ん。だで、今日の自分の不甲斐なさを次に生かすしか無いんだわ。チャンスは誰にでもきっと有るんだけど、それをモノに出来るか、出来んかは結局自分の実力だで、そう、練習しかないんだわね。試合はね、沢山釣っても大きいの1枚でも、総重量ならそれがルールだで。大きいの釣ったら満足感は有るだろうけんど、重さが足らんかったら負けるでね。何だアイツ、キープギリギリのばっかだがや!って、そんな罵声いっくら浴びても重量満たしてたら結局はソイツが勝つんだわ。試合とプライベートの釣りを分けて考えるのも必要なんだでね。」

ふ、深い!さすが師匠の話には説得力が溢れてる!こんな時にもこんな心に染みる話が聴けるなんて有難い。(ToT)

 

「でさぁ、まぁそんな話はどうでもいいけど、おい誰か、0.6とか1.0とか、細いハリス持っとらんか?」

おいおいお師匠さま、たった今そんな感動的な話をしておいて、一体この話の方向転換は何ですの?!

「さっきから餌盗りのタカベがえらい回ってき出したんだけんど、これがまたどえりゃ肥えとるいい型なんだて!グレ釣っとる場合じゃないでね!細い糸使わんと効率良く釣れんで時合い逃してまうでしょう!持っとらん?誰か?」って、、、

半信半疑ながら師匠の仕掛けをチラっと観ると、コラッ!!! すっかりタカベ対応に切り替わってるやん!

結局誰もそんな細い糸までは携帯しておらず、内田さんのご要望にはお応え出来ませんでしたが師匠は短時間にもかかわらずめっちゃ沢山のタカベをクーラーボックスにキープしていらっしゃいました。でも本当に美味しいもんね、伊豆七島で釣れるタカベ!サンマよりも上品な脂がメッサ乗ってて、どんだけ喰うんじゃ!って位に止まらなくなちゃう、、(笑)。まぁ、釣りたくなる気持ちも解るんですがここは、やっぱ師匠の超余裕からのお戯れだったんでしょうけど。

 

この日、案の定我が師匠は予選を勝ち上がって全国大会への切符を手にしたのでありまするが、同じ磯に乗ったメンバーで比較すると師匠は13~14Kg、オイラが確か3番だったんですけど6Kgくらいだった気がします。同エリア内でも師匠はブッチギリの釣果だったんですよね。

「師匠、おめでとうございます!良かったですね、ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ ってまた感動しましたよ!」

「ははは、何がぁ。おめでたいのは今から帰ってタカベの塩焼き、腹一杯食えることだがね!旨いでのう!(^O^) 」

「あ、は、、、は、、ですよねぇ。。。。」

オイラもオイラの倶楽部員も、今回学んだのは、釣りは勝つよりも満足出来たかどうか?ってことでしたね。満足出来てさらに結果として勝利が付いてくるならそれが最上級なんでしょうけど。余裕、それが全ての源なんでしょうねぇ。

 

つづく