連載回顧録15 師匠!黒鯛ちゃんですっ!
「深ちゃん、今から釣り始めるんだけんど、最初は何からしたらええの?(笑)」
「そりゃぁ決まってるでしょう、撒き餌作りですよ!まさか、仕掛けから作ったりはしませんて!(笑)、昨日今日始めたシロウトじゃぁあるまいし。。。。」
「おっ!学習したねぇ!(爆) 一度習った事は確実に体得する。うちのワンコよりも学習能力有りだがね!はははは!」
「ワ、ワンコ?!、、、、一緒にせんといて下さいまし! 餌の準備が完了したらまず捲き餌を入れて行くのですよ。それからジックリと仕掛けの準備しながらもコマセは一定のペースで打ち込む訳ですよ~っ(笑)。こうすることで仕掛けを入れる頃には黒鯛が既に寄ってるかも?って事ですわ。」
「ほうだほうだ。で?次は?」
「なのでぇ、、、刺しエサを付けて仕掛け投入ってなる訳なんだなぁ、コレが(笑)。で!案の定釣れる!」
「ちゃうがね!まだ先に何かやらないかんでしょう!。。。。何するの?」
「え?先にオシッコ済ませておくとか、、、? とりあえずオニギリ1個でも食べておく、、、、みたいな????」
「アホ!違うでしょうがぁ、底取りしとかなあかんでしょう!(笑) ついでにウキもしっかりと負荷調整せんとあかんのだがね。解っとらんかったなぁヤッパリ。」
「でもここの釣り場、何回も来てるから水深やら海底地形も大体は頭に入ってますよ~っ?それで問題ない気がするんですけどぉ。。。。」
「それが適当だっての。知ってる釣り場でも今の正確な水深が解ってなければ思い込みだけで貧果を招くだぞ。大潮小潮でも満潮干潮でも全然水深が変わるがね。釣りをスタートする前から適当でどうするのぉ。解りましたかぁ?マジで。」
「なるほどです!確かにそうですね。ちゃんと計ってみます。すんません。」
「あ、そしたらねぇ、自分が今適当に作った仕掛けに底取りオモリ付けて投入してみやぁ、どんだけ違うだかよう解るでね。」
ちゃちゃっと仕掛けもセットして、師匠がおっしゃるように「大体こん位仕掛け」を投入してみました。すると、何とっ!ズブズブズブ、、、っとウキが沈んで行きまして、どうやら1、5m以上は勘違いしてたようであります。
「ほれ見やぁ!そんだけ違っとるんだて(笑)。その誤差の範囲に黒鯛がかなり居ってもなかなか釣れんのだがね。解る?(笑)。」
「ですよね~~、こんなに狂ってるとは思わなかったっすわ!いつも来てるからって妙な慣れが現実を忘れさせてるんでしょうねぇ、、、、勘ちゅうのは意外に外れてるんですな。」
「だで!基本は絶対せんなんの。こんなの慣れてまったらね、朝起きたら顔洗うのと同じで普通にやれる事でしょう。条件反射みたいにならんとイカンだわ。ほんでもってコマセもちゃんと入れとるの?(笑)」
「はい、バッチリです!あの辺りに集中して入れてるんですけど、オッケーでしょ?」
「ええだけどね、もうちょっと遠投して狙った方がグーだわ。こうゆう釣り場はね。」
「どうして?一応この堤防ですけど、足元から5m位先まで捨て石っていうのかブロックが入ってますから、その切れ目や境目がいいのかなと思ったんですけどね、あまり良くないんですかね?」
「いやいや、通常であれば全然そいでいいだけんど、つかそうゆう変化やアクセントがある所を攻めるのは絶対的なセオリーなんだけども、ここはね、釣り人が常に多いけん、そうゆうポイントばっかりしつこく攻められとる訳でしょう、だで黒鯛にしたら警戒水域なんだわ。餌には惹かれるけんど危ない場所だって認識しとるの。うん、学習しとるんだわ、危険学習って奴。ほんだもんで竿抜けになるような場所って言ったらつまり、ここなら攻められ難いだろなぁっていう釣り人の仕掛けがあんまり入って来んような所になるんだわね。だで、遠投が有利なの。コマセの帯が終わりがけになるようなね。そんな所で待っとる事が多いんだわ。」
「へ~~~っ!そっかぁ!もし自分が黒鯛だったとしたら、仲間が何匹もひどく痛い目にあってて命賭けで博打みたいにご飯たべてたら落ち着かないでしょうし、そんな場所最初から避けますもんね!(笑)。確かにそうだ。でも安心出来そうな場所で、とりあえずエサが漂って来るならそれはそれで有難いんだからそこで待ってる。そう考えたら当たり前かぁ!」
「おおだて!そうゆうこと!(笑)。だで、ど遠投するような所にポイント作っちゃえば釣りやすくもなるんよ。」
「お~~し、じゃあ遠投でガンガン攻めてやるぞ!早速第1投だぁ!」
「こらこら!遠投はいいけど底取りしとらんがね!また手抜きしとるでかんわぁ、、、まだ解っとらんなぁ。」
「え~っ!さっきちゃんと測ったじゃないですかぁ、、、もう棚は承知済っすよ~。内田さんも見てたじゃないですかぁ。」
「あれは深ちゃんが最初に釣ろうとした竿先辺りの水深でしょう(笑)。遠投する場所は全然違うがね!30mも40mも遠いとこなんだから足元とは当然いろんな事が違ってくるでしょうがぁ!まぁ底取りオモリがそこまでは届かんにしたって、手前と沖がどんな風に違うかくらいの情報は当たり前に拾っておくべきなんだて。頼むわぁ!」
「あは、そうゆうことですか?(*゚▽゚*) そう言われれば当然ですわ。もう1回ちゃんと計測しておこうっと!エイやっ!」
「ほれ見てみぃ、全然深くなっとるがね!(・∀・)、それに合わせんとかん。だけど遠投して測った時はその測った水深のままにウキ止めとか調整しとけばいいからね。」
「え?いつもみたいに少し深めに調整せんでもいいと?」
「そう!だって遠投した時には遠心力とかの関係で絶対にオモリからウキまでの間が斜めになるがね!だでオモリ外した時には丁度良いかもしくは逆に深くなんだわ。だからそのままか、余りにも根がかりばかりなら少し棚を上げる位にするんだて。」
「ふ~ん!そうゆうことなんですね!よし、セットも完了したし、いざ出撃~~~ぃ!」
そんなこんなでここでもまた、内田さんと並んで釣りを開始したのでありました。結局は内田師匠は自ら棚取りをする事も無く、ただオイラの測った棚に勝手に合わせただけでありまして、、、、
「内田さんて、結構セコイですよね。(´∀`*) 」
「おおん?何がぁ?」
「だって自分ではオイラに測れ測れ!って散々言っておきながら自分は測らんとオイラのに合わせるだけだもん。」
「そうだけんど違うがね。。。同じとこ釣るんだで一人が信用出来る測り方したらそれに合わせるってのは効率がいいの。」
「ははは(≧∇≦)、ここも無駄の排除って奴ですか?」
「ほうだよ、それ以外にはなんも無いの。」 何でもかんでも師匠にはかなわないオイラでありまする。
そうこうしてるうちに師匠が、
「お?前当たりかな?、、、、ちょっと誘って、、、、う! 来たぁ!」と言った途端でした。丁寧にしっかり合わせると竿は満月に曲がりました!大きく野球のバッターが打席で構えるようにグイグイと竿を締め上げていきます。その途端片手は何とコマセ杓を握って、さっきまで撒餌さを入れていたピンスポットにヒョイ~っと遠投!すげぇな、やっぱ。
リールを巻いては溜めて、溜めては巻いて、でまたコマセ遠投して、、、、こうゆう事だわ!同じペースでコマセ入れて、餌のカーテンを切らさないってことだな!な~んて感動まで戴き。そうこうしてたらお魚さんは今や足元でバシャバシャしております。タモをスルスルっと伸ばして1発で掬い取りました!上がって来たのは40cm台半ばの黒鯛であります!
「やりましたね!スッゲェですわ!このやり取りもコマセワークも!」って言ってる間に師匠はまたコマセを入れてます。
「ほら、やり取りしとる時もコマセしとるでしょう、何でだ解るぅ?」
「師匠がいつもおっしゃるように、一定のペースで投入するって見本でしょ?」
「おお、ほだほだ、でもそれだけじゃ無いだて。絶対に群れでおるんだもんで、そいつらを足止めしとかなかんでだわ!自分たらぁの近くで仲間の1匹が釣られるとねぇ、釣られた奴が横泳ぎしたり腹を上に向けるように泳いだり、つまりは危険を仲間に泳ぎ方で知らせるんだわ。それで周りの仲間も一瞬警戒モードに切り替わるんだけどが、そこにまたマキエが落ちてくると又そっちに気がそられるんよ。だでまだそこについつい留まってまうんだわ。」
「それで数も釣れるって事なのかぁ!そっかぁ、足止めさせるんですね!」
「ほうだて!だで数釣りが出来るって裏付けにもなるんだわね、コレがぁ。」
そう話してるうちにオイラのウキももたれるように沈んで行きます!ちょっと聞いてみるとす~ッと気持ち良いウキ当たりが出ました!
{オリャッ!」
掛け声とともに重量感のある心地よい引きが両手に伝わってきます!溜めながらゆっくりユックリ巻いて来ますと次第にこっちとの距離も縮まってきました。もうチョットだぞ!って思った時にまた師匠の声がします。
「コラ!あんだけ言ってもまだコマセ入れんのかい!(笑)、だで1匹でいつも終わっとるんでしょうが!」
「あ!そうだった!イカンいかん、すぐに忘れてるオイラだっ!つかマキエ入れる余裕すら無いかも!」
って必死に答えてたらビュイ~~ン、ピシャッ!って音がして。。。。師匠が代わりにエサを投入して下さいました。
取り込んだのは45cmを少し切る位のサイズ!久々の良型黒鯛であります!
「やったぁ!黒鯛ゲット======!」
「ゲットじゃないわぁ、次を考えて、つながる準備も同時進行せんと意味ないでしょうに!ほれ!ハリ外しながらもコマセいれんとどうするんやぁ、、、」
「もう、、、、うるさいなぁ、、、、解ってまんがなぁ、、、」
「解っとらんでしょうに!ハヨせいっ!(笑)」
「マジ超地獄耳っすよね、聞こえてましたの?今のオイラのささやいた言葉。」
「あのねぇ!深ちゃんは今黒鯛釣れてテンション高くなっとるでね、自分で小声のつもりでも絶叫しとる位に聞こえるわ。」
「ありゃりゃ、、、、すんません。。。ほら!師匠!人のこと言ってる間にマキエ入れんとあかんのやない?!」
「かなわん奴っちゃな!深ちゃんに言われんでも、、、、よっしゃぁ!!!ヒットォ!」
「流石!隙は本当に無いお方やね。」
その後も二人で入れ替わり立ち代りで30cm~45cmを連続して釣り上げていきました。オイラにしては生まれて初めての黒鯛の数釣りです、ワクワクしながら絶頂の喜びを噛み締めていたのであります。まぁ、そうは言っても内田さんが3枚釣るごとにオイラが1枚ってのが正直なペースでしたけど(´;ω;`)。
「今日も何だかオイラと師匠ではペースが違うんですけど、これは何が違ってるんでしょかね?」
「まぁ、考えや攻め方も実力も同じだって仮定したらの話なんだけんど、うん、あくまでも大幅に大胆にする仮定でね。」
「くどい!(笑)、はいはい、仮定ね。」
「うん、違いはまだまだ警戒心残してる奴らに対して、どうソフトなアピールするかって所だわ。ぎこちなく、ホレ!エサエサエサ~~!ここココここだぞ~っ!ってえげつない誘いなのかそれとも、フワ~ンって、手のひらを上にして小指から人差し指まで1本ずつ順番に手のひら側に折ってくる、おいで~~、おいでなさ~いみたいな、ちょっと思わず誘われちゃうような感じ!解るか?」
「超解りにくいけど、メッサエロイ感じで、結構解ります(((o(*゚▽゚*)o))) 」
「そんな感じだがね(笑)。自然な雰囲気なんだけど、ちゃんと黒鯛の前ではアピールしてるような、まぁ口で表現するのは難しいけんあれだけど。だで、コマセの帯の中で微妙な棚調整してみたり、エサが効いてるポイントの周囲を満遍なく探ってみたり、もっとその沖まで流してみたり。自然さを気配りしつつ広範囲に探りを入れるってのも必要なんだわ。」
「そうなんですね。コマセが直接効いてる所だけがポイントだとは言い切れないって事なんですね。」
「そう!そうなの。一番コマセが溜まってる所でガツガツ喰ってる時も有れば、少し離れた所でじっと様子確認しとる時もあるし、さらに遠い所まで下がってしまったと思いきや、いきなりまた一番濃~い所に引き返してきたりと、群れでおっても周辺をウロウロしとるんだわ。一瞬一瞬でそうゆうの繰り返しながら。それも警戒心からくるものなんだろうけんどな。」
今日もお勉強ばかりの釣行ですが、これも本当に聞き入ってしまうような講義の時間でありましたよ。さあ!まだまだ釣れます!この続きはまた次回。是非お楽しみに~~~~~~~っ!(*゚▽゚*)
つづく