連載回顧録13 師匠の「選び釣り」凄し!

2014年03月28日 20:00

「深ちゃん、あのちょっとマシな大きさのグレ、撒き餌してからどれくらいしたら何処ら辺に出て来とるん?」

「その時そのときで、、、、自由気ままに、、、、じゃないんですか?」

「あぁ情けないな、読み切ってないだなぁ。深ちゃん同じペースで撒き餌入れとるん?仕掛け入れる前も、入れた後も、やり取りしとる最中も、ハリ外したり仕掛けいじっとる時も同じペースで入れとる?」

「入れてるつもりにはなってます!ヽ(;▽;)ノ 」

「ははは。つまりは意識してないって事でしょう(笑)、同じペースで入れるから法則も見つかるんだて。」

「仕掛け投入したり、撒き餌が着水した瞬間、湧いとるグレはどうゆう動きしとるの?」

「あ、それは解りますよ、驚いてか怖いのか、一瞬サッと散って潜ります。」

「ほんで、それからどうなるの?」

「またチョッとすると浮き上がって来て餌に群がってきます。」

「その時、大きい奴らはどう動いてるの?」

「、、、、、、、、気まま。。。。。。。」

「はいだめぇ! もう1回しっかり観察ぅ!(笑)。何か気づいたら発表してちょ!(笑)。」

 

「何だよぉ、、、すぐに教えてくれりゃいいのにぃ、、、でもそんな共通点、何か有るのかなぁ?知りたいなぁ。」

そう思うと絶対にパターンを発見してやるぞ!って気になりまして、じっくり観察する気になったのでありますよ、はい。

撒き餌入れる。ピシャ!散って潜る。ん?あれ?大きいのがその隙にど真ん中に姿を見せてない?

撒き餌入れる。ピシャ!散って潜る。お!んん!大きいのが散った奴らの外側から浮いたぞ!?

撒き餌入れる。ピシャ!散って潜る。おぉ!!!大きいのが真ん中と外側に出て来てるんだ!!!そうか!

「内田さん!何かちょっと解ったかも!もしかしてこうゆう事です?!」って気づきを説明。

「おぉ!よう発見しただないの(笑)!そう、正解。多分今日のパターンはね、こう思うんだわ。大きい奴はそれなりに警戒心が強いもんでゴソッと湧いてる時には群れの下の方で落ちて来る餌を拾ってるだけなんだわ。ほんだけど食い気が高まって来たらやっぱりもっと食べたいでしょ?だで群れの外側で人混み?グレ混み(笑)に身を隠すようにしながら餌を取りに出て来とるんだね。真ん中にヒョコっと出て来る奴はねぇ、群れの下におったんだけど上の奴らがどいたもんで、今のうちにって油断しとるんだ。まぁ、今なら安心して食えるって判断を誤って出て来るんやろなぁ。」

「な~~るへそ!だけど理屈は解ったんですけど、どうやってそいつらを掛けるんです?ノウハウは?」

「そこからは勉強だがねぇ(^O^)、今日の一番濃い~ぃ部分だと思うわぁ、攻略してみ!」

「え!え?教えてくれないんですか!?」

「ははは、俺に初対面の時、ずっと独学でやってきたって言っとったがね!少しは独学で何とか打開せにゃ。」

そう言って師匠は笑いながら自分の釣りを再開し始めました。こうなればいっそ自分の竿を1度置いて、グレではなく内田さんの釣り方を観察しちゃうぞ!って思いましてね、ま後ろのテトラポッドに座り込みを決めたのでありました。

 

撒き餌を入れました。「ん!オイラとは撒き方がちゃうぞ?おぉ!2畳カーペット位の面積に散らして撒いてるんだ!おう、グレが散って潜った。。。え!仕掛けはコマセの外側に投入するの?あ、またグレが湧き上がってきた!おおお!沖に入れた仕掛けを手前にゆっくり引っ張って来て、また今コマセをかぶせたぞウキに!グレが散って潜って、、、!当たった!いい引き込みだぁ!あらら!キープサイズだ!」

「今度は撒き餌の中に仕掛けを引き込まないの???あ!当たった!おお、今度もいい引きしてるなぁ、、アリャ~っ!これも又キープサイズ!そっかぁ!大きいのが出て来るタイミングに合わせて、その大きいのが喰って来る棚に刺し餌が落ち着いてるように逆算するって事か!、、、いやぁ、スゲぇ!これぞ神技だ!」

 

「内田さん!我は見破ったなり!」

「え~~!?見破ったんか?だははははっ(爆)、て事は深ちゃんもキープが釣れるってこと?」

「当然ですとも!では只今よりその証拠をご覧に入れて差し上げましょうぞ!(*゚▽゚*)。」

「おお!早く見せてくれりん!」

 

万を持してオイラも釣り再開であります。見よう見まねではありますが、、、、

撒き餌を広く撒いて、、、今!仕掛けを沖目に投入して、、、、もう一度撒き餌を入れて、、、仕掛けを引いてきて、刺し餌が撒き餌の一番外側の輪郭線辺りに来るようにして、、、道糸を張って、、、、、!!オッシャ~っ!当たった!

グイっ! おお、これはいい感じじゃね?! 引くし走るし!抵抗しやがるし!オリャ~ッ!やったぜ、キープサイズ!

やっと釣り上げたのは28cm!堂々のキープサイズであります!

「内田さん!やった!釣れたぁ!出たぁ、キープ出たぁ!ヒャホーっ!」

「おぉやっとかね!これで18対1だがね(笑)!俺もウカウカしとると深ちゃんに抜かれちゃうかもなぁ、ははは!」

「ですよ本当に!ここからオイラの怒涛の追い上げスタートですからね!(^O^)。」

「でも今の感じ覚えとかないかんよ。大きいのが姿見せる時は奴ら、警戒心が薄れた時かもしくは、釣り人を馬鹿にしとる時かどっちかなんだわ。馬鹿にしとる奴らは仕掛けや餌の不自然さを見抜いとるで、そうは簡単には釣れてくれんけど、警戒心が薄れた奴らならパターン見つけたら狙って釣れるんよ。いくら警戒心が薄れたとはいえ、スレッカラシの中で生き抜いて来とるんだで最低限の警戒は崩さんでね。だでパターンを知って逆手に取らんとイカンの。」

「はい。したたかな奴らですよね!オイラみたいに純真な人間にとっては厄介な相手です!」

「ゲホッ、、、何かむせた、、、(笑)、さ、能書き垂れんとはよ追いついてちょ!ははは。」

 

感じは掴めてきたんですがなかなかピッタリとパターンにはまるような事はありませんでした。そこが基本的に経験が浅いって所なんでしょうが、師匠ときたら相変わらずのペースで釣果を重ねてってます。

「内田さんはどうしてそんなにもコンスタントに釣り上げて行ってるんですかね?ペースが落ちないのはまた何か得策とか有るんでしょうねぇ?」

「得策なんてもんは無いがね。でも、微妙な状況の変化にこっちもその都度少しずつ変化はさせとるよ。」

「たとえば?どんな?」

「大きいのが浮いてきてもその都度、棚が微妙に変わるでしょう、少し深くなったり、表層になったり。ほしたらガン玉足したりその位置をずらしたり、また外したりね。ウキも固定にしたり半遊動にしたりで食い込み方に適応させにゃいかん。撒き餌や仕掛け投入のタイミングも変化させたり打ち方や投入場所も考えてずらしたり。つまり、のんべんだらりで釣ってても結果には結びつかんてこと。」

「ウグ、、、グウの音も出ませんが。。。。なるほど、ザ、ワールド!」

「まだまだ冗談言う元気あるがね!(笑) 仕掛けとかいじると、しばらくはコレで様子見ようって思ちゃうがね、でもそれもイカン事なの。仕掛け変えた直後の第1投であっても、何か違うって思ったら面倒臭がらずにどんどん変えなかん。大体考えてみ、自分がおかしいって思っとるのに何でそのままにするだ?おかしいって思わんように変えるのはごく当たり前の事だがね。当たり前な事なのにそれをすぐに行動する人が少なすぎるんだわね。だで、人様よりも抜きん出たいって思うならそこから正さんとダメ。結局、自分の怠け心に甘んじるもんで上手にならんの。トーナメンターで一流って言われる人はね何も特別じゃないんだて。普通の人だわ。でも、キッチリそうゆう細かい所もいい加減にせんもんで結果につながるだけだと思うよ。」

 

本当にただただ参りました。ですよね、内田さんのおっしゃる事は確かに特別な事じゃないですもん。自分の怠け心やいい加減さ、曖昧さばかりが原因なんですよね、よう解りました。

最終的にこの日、釣果は、、、、ハッキリと数字は覚えてませんが、多分、50対4か5位だったと思います。この結果もすごく、一流トーナメンターとただの天狗との差を浮き彫りされて、あらためて自分の技術のなさを痛感させられた次第でありました。内田孝一師匠のいう「観察」。常に何事に対してもシッカリと状況を「観察」すること。そこから生まれて来るひらめきと攻め。これを自分の釣りにいつもテーマとして掲げる大切さを教えられた気がします。

「次回は内田さん、どうします?」

「黒鯛でもやるか?」

「いいっすね!じゃ、それで決定ってことで!」

 

つづく