連載回顧録11 師匠からのご指導

2014年03月26日 14:07

結局この日、オイラはデカ版サンノジの他には40cm弱のグレが1枚釣れただけで終わってしまいましたが、師匠の内田さんは40オーバーのグレを5枚ほど釣っておられました。その磯際だけでなく皆が見向きもしない磯裏や、地磯の際に遠投したりと、意表を突くポイントを集中して攻めていらっしゃいました。

「内田さん、この沖向きがここの本場だって思ってたんですけど、そうではないって事ですか?」

「まぁ、釣り人ってのは本能的に表側を向いて釣りたいもんだわな。でもあれだわ、魚はほら、毎日釣り人が来ちゃぁバシャバシャやってくでしょ?様子を隠れながら観察しとるんだがね(笑)。グレは根に着く魚だでね、根からはなるべく離れたない訳。ほしたら何処におるの?滅多に誰も攻めん場所におるって事でしょ、ほんだで今日はそうゆう竿抜けしとるだろうポイントを攻めてみたんだわ。ちゃんと結果もでるんだて、そうゆう所はね。」

「競技会とかでもそうゆうポイントを攻めたりするんですか?」

「おん、厳しい環境で数匹の勝負になるだろなぁって時にはやるよ。時には1匹釣ったら勝ちなんて日も有るでね。どこにおるんやろ?って推理せにゃ簡単には結果が出んでねぇ。だけどあれや、湧きあがってくる小型中型の数釣り勝負はまた全然違うんだわ。よ~け釣らんとダメだでね、そうなったら手返し勝負。いかに早く確実に取って重ねて行けるかどうかやでねぇ、攻め方も釣り方もおのずと変わってくるだわ。」

「なるほど、どっちにしてもその時の魚の状況を逆手にとるって事なんでしょうね、オイラにはまだまだ遠い目標だな、そうゆうふうに手玉にとるには。」

「そんなもん直ぐやぞ、要するに気持ちの持ち方と根気と考え方だけ!(笑) 今日のあの沖の根が有るとか無いとかも同じだけんど、まず、解ろうって常に意識して観察することが大事。で、諦めんこと。あ~~~もう解らん!って言ってしまえばそこで終わりでしょ、誰かに言われる訳じゃないがね、やるもやらんも自分で勝手に決め取るんだわ、だったら解るまでやってみる根気だね。ハリにまだエサが付いてるか無くなったのかも、解ろうと努力しとったら解るようになるでね。そしたら無駄に流す時間もカットできるでしょ、魚に出会う確立も大幅にアップするじゃん(笑)。そうゆうの一杯あるけどね、ひとつ一つの事柄、工程にいつもこれで良いの?って疑問持ってやり続けんと。」

「本当ですねぇ、今までそこまでいろんな疑問とか、考えた事もなかったっすよオイラ。例えば今日のオイラの釣り方で、競技会とかじゃそんなのアカン!ってゆうような所ありました?」

「ははは!あるある!でら有るさぁ(笑)。例えばバッカンの位置。足場をあそこに取ったでしょう、それはいいや、でもバッカンをあそこに置いたらイザ!って時にサッと前に出れんがね、これがバラシにつながる。大きいの掛けてやりとりする動線のど真ん中にタモも無造作に置いたでしょう、あれも命取りになりかねん。姿勢もねぇ、その時には楽になるで「休め」の格好するでしょ、今度は逆の足が疲れてくるで又逆向きの「休め」になる。両足になるべく均等に体重かかるように立ってみ。意外だけど長時間疲れんでねぇ、足にいちいち気を回す必要もなくなるんだわ。他に沢山いろいろ気を回さなかんのに自分の足に気が向いとったら負けだがね。(笑)。」

「スゴイっす!宝箱みたいに出て来ますね!珠玉の金言!なるほどなるほど。。。。。」

「ライフジャケットのポケットももっと機能的にせんとダメ。何か取り出すにもモタモタしとったら時間が勿体ないがね。スッと手を入れただけで今自分が思ってる物が手に触らんとイカンのだて。エサ箱の位置もあれだといちいち腰を折らないかんでしょう、なるべく立ったままに近いようにする事も考えんと無駄ばかりだわ。

競技会ってとこはそうゆう場所。技術的な違いなんてもんは大して開きは無いんだ。それこそ初心者なんて決勝大会までは出て来れんだろうし、あとの技術差って言えば無駄の排除と工夫と引き出しの多さ位なもんだでね。あとは勘でしょダハハハハ!」

 

もう結局はオイラが何にも考えてなかったって事だな、とことん突き詰めるってとこが全てなんだろうなぁ。やっぱ驚くことばかりでしたわ。お弁当食べながらも、竿を振りながらも、お魚とやりとりしてる最中でも、この日は押し黙ってる時間の方がうんと少なかったんです。釣り疲れよりも喋り疲れでしたね。超中味の濃い釣行でありましたよ。

 

港に帰って来ると皆さんが内田さんの釣果が気になるのか集まって来ます。「どうでしたか?やっぱ釣ってるんでしょうね?」って自分のと比べたい方たちばかりですので、内田さんは少し照れるようにしながらクーラーボックスのふたを開いたのであります。

「ギョエ~~~!マジで!?」 とか 「ウッソ======!すっげぇ====!」などと驚愕の雄たけびが響きましたよ、さすがに。(笑)

皆さんの最大でも35cmくらい。それも沢山釣ってる人で7,8枚でしたからね。40UPで揃えられちゃもう桁違いですわな。

 

帰り道でもずっといろんな話をして下さいました。今回の書きだしにあった通り、まさに 目からウロコ記念日になりました。

お家までお送りしての帰り際、

「深瀬くん、今度は数釣りの勉強しに行こまい!」って言って下さり、

「はい!ありがとうございます!またすぐにご連絡させて戴きます!」ってまた嬉しさがこみあげてきたって訳でありました。

もっともっと勉強しまっせ~~~~~~っ!

 

つづく