連載回顧録9 師匠との出会い

2014年03月23日 15:45

磯釣りを覚えてからはもう、じっとしてませんでしたね(笑)。雨が降ろうが風が吹こうがお構いなし、怖いもの知らずで釣り狂ってました。名古屋からですと日帰り圏内である伊豆の神津島や新島、式根島や鵜渡根群礁、さらには銭洲、イナンバ、泊まりで行くなら三宅島から八丈島、九州の五島列島や男女群島まで飛んで行ってました。近畿東海から日本海側なら殆どの海岸線から離れ磯までも熟知していた程です。女房家族には見放されて三行半、それでも釣りを我慢する方が体に悪いなどと勝手な理屈までこねたりして、もう付ける薬さへも有りませんでしたよ。

どこへ行ってもそこそこ釣れるようになって来ると人間は浅はかなもので、自分って結構魚釣り上手なんじゃね?な~んて思い込んだりするものでありまして、俗に言う天狗って奴ですね、馬鹿の極みに到達してましたよ。

いつも行ってた釣具屋のオヤジさんに、

「釣太郎ちゃん、実力試しに競技会出てみたらどう?」なんて言われまして、

「競技会?何の?そんなものが有るの?」

「グレとかチヌとか、釣具メーカーやスポーツ新聞が主催でやってるんよ。地区予選から始まって全国大会まで進んだら決勝戦。ここ最近めっきり増えてきたんだよ、そうゆうのが。」

「へぇ~!知らんかったなぁ。でもさぁ、オイラなんかが洒落で出ちゃってヒョヒョヒョイって優勝なんかしちゃったらヤバイっしょ~、皆さんの手前(笑)。格好良すぎるじゃん(^O^)。」

「ははは、洒落でもいいから本当、一回は出てみなって。」

そんなこんなから始まってとうとう、とあるメーカー主催のグレ釣りトーナメントにちゃっかりと出場しちゃったのでありました。百人を優に超える釣り人の熱い息に混じって、実際に行ってみると超ビビリィなオイラ。まだ夜中だというのに出場者達は道具を点検したりエサを調整したりで余念がありません。強者どもは戦に備えて早くもシュミレーションを繰り返しているようです。

それでもきっと何とかなるだろうと、深く考えもせずに仮眠して開始を待った余裕のよっちゃんなのでありました。

大会挨拶の後、指定の渡船にゼッケンを付けて乗船、順次磯に降り立っていきます。ルールに従って場所決めをしていざ試合開始であります。審判のけたたましいホイッスルの音でスタートの火蓋は落とされたんであります。

「え~~っと、そこに仕掛けを投入しぃの、エサはここに撒き~の、で、糸を操り~の、え!?お隣さん早くも1匹目?」

オイラが初物をゲットするまでにもう4~5枚は上げている様であります。

「ヒョエ~っ、取り込みも投げ返しも早いなぁ!マキエのペースも全然早い!スゲェな。」

そうなんですよ、手返しも針交換もメッサ早いんです。小道具もすぐに取り出せるように工夫してありますし、無駄が全然無いんですね、これはショックでしたねぇ。勝つ事を前提に全てが工夫されてました。姿勢にも足回りの道具の配置にもとことん熟慮されていました。いやいや、「参りました!」って感じでしたよ、本当にね。(ToT) 

もうその日の結果は言うに及ばず、玉砕でした。

帰ってきてからいろいろ考えたんですが、ここはそうゆう「先生」について教わるしかないだろうと。それも歴戦の強者じゃないとダメだろうなぁって思ったんですよ。しかも名古屋近郊にお住まいの方じゃないと足繁く通うことも出来ない訳ですしね。誰かいないかなぁ、、、、、、!? あ!がまかつの「内田孝一さん」が居る!あのお方は確か豊田市在住って聞いたぞ!この前釣り雑誌で見たばかりだし、よし、電話帳で調べるか!

なんとももうこれは暴挙です。調べてみたら2つの電話番号が。どっち? 解んない。 そうだ、かけて聞いてみたらいいかも!ってな訳で恐る恐る電話しちゃいました。まずは1件目。

トゥルルルルル トゥルルルルル、、、、、

「はい、内田でございますが。」 女性の声です。

「あの、お忙しい時に恐縮でございますが、そちら、がまかつの内田先生のお宅でいらっしゃいますか?」

「あぁ、釣りの方ですね?はい、今主人と代わりますのでお待ち下さいませ。」

や!やった!1回で大正解引いたぞ!ヤベー緊張するっ!

「はい、内田ですが。」

「あ、内田先生!あのオイラ深瀬と申しまして、あの、その何ちゅうかですね、先生の釣りのお弟子にして頂けないかと思い、勝手ながらお電話させて頂きましたっ!はい。」

「弟子!? ははは、そんなもんおらせんがね、そもそも先生なんて呼ばれるような者じゃないでねぇハハハ。何だっけ、深瀬さんって言った?深瀬さんはどっかのクラブとかに入っとらんの?」

「はい、ほんと独学みたいなもんでして、教わった事も殆ど無いんですわ。もし先生がクラブとか主催していらっしゃるのなら是非とも入れて頂きたいものです。」

「そうなの?ほんでもねぇ、俺も今はどこのクラブにもおらんのだわ。でもしょっちゅう釣りには行っとるで良かったら今度一緒に行ってみる?」

「ま、マジですかっ!!!!!是非!」

「おん、ええよ、教えるってそんな大層なもんじゃないけんど、楽しんで覚えたらいいでしょ、ね。」

「はい!嬉しいです!有難うございます!」

そんなこんなでご住所やらをお聞きして、釣りのアポイントまで取らせて戴けてしまったのでありまする。いやぁ、天に登っちゃいましたね。試合でケチョンケチョンにぶった切られて堕ちたどん底から、天使が囀りながら(天使ってさえずったりするものなの?)、オイラの手を引いて天にまで引っ張り上げてくれたような喜びでしたね。(((o(*゚▽゚*)o)))

それからはまた、楽しみで楽しみで寝不足の日々が続きましたよ。あぁ、早く来いよ!その日!お師匠さま~~!

 

つづく