連載回顧録8 初めての磯釣り 後編

2014年03月15日 09:26

車に荷物を積み込んでゆっくりと帰途についたのですが、頭の中では今日学んだ沢山のことがずっと走馬灯のように駆けずり回ってましたよ。何せ、興奮してたりカルチャーショック受けてたりで、冷静になりきれて居なかった部分も多かったのでありましょう、一つ一つの事を整理しながら思い返しておりました。

まずは何と言ってもあの道糸の張り方ですよ!あれはかなりショッキングでしたねぇ(笑)。「こ、こんなに引っ張っちゃって大丈夫!?」って。特に棚を深くしてからは一層強く張るような感じだったし。

それまでのオイラは本で読んだ程度で、糸はなるべく張ってないとダメですよって位には知っていたのですが、実際に体感的にコレくらい張るんだっ!てのは知りませんでしたからね。極端に言ったら、投げ釣りの感じに近い位でしたから驚きましたよ。そいでもってウキを流して行く時にも今まではただ、リールのベールを上げて、竿先をあおってジョジョジョッって大胆に糸を出して、それが流されながら段々張って行くのを待ってる感じだったんですが(笑)、ベールを上げたままにしながら竿を持つ手の人差し指でスプールを押さえつつ、反対側の手で少しずつ道糸を出して送って行く。ナ~~ルホド!これならば全体を緩めることなく一定のテンションを保ったままにどんどん流して行けるじゃん!とまぁ、百聞は一見にしかず、百見は一体感にしかずって事でありました。

ウキもそうです。今でこそ笑えるお話なんですがオイラ、3Bって表示のウキならば仕掛けのどこかに3Bのガン玉を1個打つんだって位にしか思ってませんでした(笑)。2Bでも2Bのガン玉1個みたいな(笑)。しかもこの当時まだ、0号なんてウキは世の中に出ていませんでしたし、負荷表示そのものも結構いい加減な時代だったんです(かの有名な鵜沢正則さんや江藤弘則さんもまだ全然無名の頃ですよ=あは、逆に今の若い釣り師の方々だと昔過ぎて知らないかも)。時代とともにウキの精度が次第に上がって行ったからこそ、0号なるものが誕生したって歴史的背景も存在している訳でありまするよ。なので山本さんがオイラの仕掛けを調整して下さった時、B負荷のウキに替えて1号と3号のガン玉を2段打ちしたんですね。当然その意味が解らないオイラですから理由をお尋ねした訳なんです。

「山本さん、Bのウキって、Bのガン玉を1個打つってことじゃないんですか?」

「あははは、確かにそれで良い場合もありますよ。でもね、潮の流れ方とか想定してる棚とか色んな要素でオモリを打ちたい場所も変わるし、こうして複数の場所に打ちたいこともあります。複数を打つとしたらトータルでどれくらいの負荷になるか、それでウキを選ぶってのも重要なんです。ガン玉使わないなら出来るだけ負荷の無いウキを使って、ガン玉使うならどれだけの重さを使うのかでウキをチョイスするんです。」

「って事は2B負荷のウキならBのガン玉2個とかって具合ですね。」

「う~ん、それがちょっと違うんですよね(笑)。正確には2B=B×2じゃないんです。何BってのはBの倍数じゃなくて、重さじゃなくて大きさの規格みたいなものです。実際には2BのウキにBを2個打つと重すぎて沈む筈なんです。でもウキの負荷って曖昧な物が多いので2Bって書いてあっても実際には5Bでも沈まないものも売ってますよ(笑)。だから私は自分のウキは必ず、海水に浮かべて正確な負荷を確認してますよ、だからほら、私のウキにはマジックで負荷が書き直してあるでしょ、あはは。見てくれは悪いですけどね。」

「そっかぁ、そう言う事なんですね!どうやって攻めるかを考えて、そこから仕掛けを考えて、それに合うウキを選ぶってことかぁ、、、ヽ〔゚Д゚〕丿スゴイ、、、けどまだ攻め方さへ想像つかない自分が困ってます。とりあえず自分のウキ、正確に測定しておきます。(*゚▽゚*) あ、すみません、ところでコレ、何でガン玉って名前なんですかね?」

「もともとは散弾銃の玉らしいですよ、ガンの玉。」

「へ~~~~~~、山本さんってホント、色んな事物知りでいらっしゃる。マジで惚れてしまいそうですよ!」

「いやいやいや(´д`)、勘弁してください、そうゆう趣味は(笑)。。。無いですけどね。でも釣りにのめり込んで行くとどんな事であれ、自分の中にいろんな引き出しが増えていくのもまた嬉しいものです、深瀬さんには同じ匂いがしますよ(^O^) 」

 

そうなんです。「同じ匂い」なんて言って戴けただけで幸せ気分。山本さんレベルに早く近づきたいなぁ!って思いましたよ。家に帰ったら風呂入りながらウキの負荷チェックしなきゃな。あ、でも海水じゃないとだめだ、洗面器に海水の濃度で塩水作って、、、とか考えながらの信号待ち。何気に横を見ると 「△□漁港」の表示が!

「そうだ!今ここで測れるじゃん!(*^▽^*) 」てな訳でいきなり左折して岸壁に車を横付けであります。思い立ったが吉日とはこの事ですわ、ちゃんとそういう流れが出来てる訳なんですよね。

おもむろにトランク開けて道具を取り出し、道糸にウキをセット。ウキのすぐ下にガン玉を打って海面に浮かべてみます。

「(メ・ん・)? 何か、、、あ!そうだった、ハリスも針も付けてしないとダメって山本さん言ってたっけ。ハリスだって針だって水の中では全てオモリだってね。」思い出して良かった、2ヒロのハリスに針を結んで、それを巻いた状態で付け足しました。

まずはBのウキからです。ガン玉Bを打って入れてみますとウキの頭がほんの僅かですが水面上に出ている感じで、まだ若干の浮力が残っていそうです。教えて貰ったのは浮いてるって安心感も無いけど、沈んでも行かないってギリギリな感じ。なのでもう1個Bを足してみましたが、そうすると今度はかなりゆっくりですが沈んで行きます。そこで山本さんのあのご金言に従い、2Bのガン玉1個に替えてみました。するとどうでしょ!こうゆう事だったのかぁ、、って感動するほど、シブシブの状態で漂ってます!つまりオイラのこのBのウキってのは実際には2Bのウキだったって事なのね!いやぁ、目からウロコです!

同じように他のウキも全て測ってみたんですが結局のところ、表示通りではないウキが殆どだったんです。もっと困ったのは4Bと5Bの中間とかって奴です。市販のウキにそんな表示のものなんて有りませんから、オイラ的に、4.5Bみたいな表示に変えたんです。測り終わった時には何だかスッキリしましたね(*゚▽゚*)。ガキの頃、宿題なんてギリギリまでやらなかった癖して、こうゆう事は誰より何より早く取り掛かる(笑)。自分の極端さに呆れちゃいましたぁ。

でも初心者は初心者。たったこれだけの事で次からは毎回が入れ食いの連続になるなんて、そんな風に思ってましたからねぇ、恐ろしい話ですよ全く。

それでもこの磯への初挑戦、確かに得たものは大きかったんです。何よりも山本さんのような先輩からジックリと教わる事が出来たってのが最高に大きかったですね。そう言えば帰り際に山本さん、言ってました。

「とりあえず今日、深瀬さん納得のサイズが1枚でも釣れたじゃないですか、何がどうなったから釣れたのかを考えときましょうね。釣れなかった時の事って、考えても意外に答えなんて出ませんよ、だって結果が何一つ出てないんですからね。でもとりあえず結果が出たって事は必ずそこに釣れるまでの理由が有ったわけですよ、それを考えるのが大事です。」ってね。

しっかり考えて次回に備えとこかな(*゚▽゚*)。あらま、ここにもこんな前向きな自分が!(照) でもこの考え方、確かにオイラの釣り人生の中では基本になってます。どんなプロでも絶対的にボーズだなんてこと結構有りますから。そんな時にため息ついてるよりも次の決戦にワクワクしてたいですよねぇ。(*^▽^*)

 

つづく