連載回顧録7 もっと知りたい!
山本さんと肩を並べるようにして釣りを再開であります。今までオイラが攻めていたサラシのあるポイントはそのままオイラが攻めて、山本さんは潮下のシモリ際を攻め始めました。
「深瀬さん、コマセをサラシの芯に入れてるじゃないですか、そうするとサラシの先端まで行く頃には拡散しきっちゃって広がりすぎちゃうんですよ。今時は餌盗りも多い時期だからその範囲全部に餌盗りが集まっちゃうんです。ベラやらスズメダイやらはそれほど泳ぎが得意じゃないですから磯際に集めておいたほうがいいですし、それとグレは離しておいたほうが釣りやすいんです。なので、磯際に多めにコマセて、サラシの際に少し入れるほうが分離しやすいですよ。」
「なるほど!こんな感じですか?」
「そうです、際はもっと入れてもいいです。ドボンドボンって感じで。でもサラシ際に撒く時には縦に切るように細長く入れるといいかもです。コマセがサラシの先まで帯状に流れていくイメージです。」
「こ、こうですか?縦に切る、かぁ、なかなか難しいですね!」
「ははは、何事も勉強ですよ。最初から上手に出来る人なんて居ませんから、絶対に。」
「山本さんがその潮下側を釣るのは何か作戦が有るんですか?」
「深瀬さんが今まで撒いてたコマセがサラシの先端まで行って、それが今度は潮の流れでこっちに来てるって思うからです。しかも大きなシモリが有るでしょ?あんな所でグレはエサ拾ってるんですよ。小さい奴らはホイホイとサラシ際まで出て行くんでしょうけど、警戒心強い奴は隠れながら流れて来るエサを拾ってるこ!おお!来ました!グレっぽいかな(笑)」
「ありゃりゃ!すごい!解説してるうちからコレですか?!おおおお、グレだグレだ!いい型だぁ!」
「いやいや、言う程のサイズじゃないですけどね、アラヨっっと!、はい、タモ入れ完了。」
「40cm位あるんじゃないですか! デカイなぁ!」
「とんでもない(笑)、う~ん35cm有るか無いかですね、もっと居ますよこれくらいのサイズなら。
「棚はやっぱ2つですか?」
「これはどうだろ、多分3つ位の所じゃないかな。」
「え?そうなんですか?!船頭さんは2つでって言ってましたけどぉ、、、、間違いなんですね?」
「ははは、船頭のはあくまでも目安でしかありませんよ。状況によって棚はこまめに変わるものですしね、攻めるポイントや潮の速さとかでも棚はどんどん変えて攻めるんですよ。」
なるほどね~、こうゆうのが引き出しなんだねぇ、条件によって棚や仕掛けも変化させるってのは解ったけど、実際には何をどう変えるのかがオイラには解んないもんな。コマセの入れ方や量だって解んないし、なるほどね~、勉強だよね~。
とか思ってるとまたまた山本さんの竿が小気味よいカーブを描いて、上がって来たのはやっぱグレちゃん。いや、オイラのはグレちゃんサイズだったけど山本さんのは、グレさんだわね。(´;ω;`)
「深瀬さん、こっこでやってみて下さいよ、まだまだ釣れる筈です。今丁度喰いも立ってるみたいなんで。」
「えっ、いいんですか?せっかく調子良く釣ってらっしゃるのに。」
「はははは、多分これは今まで深瀬さんが入れて下さってたコマセの効果です。どうぞどうぞ!」
そんな訳でちゃっかり場所交代までして頂いたんです。しかも仕掛けまで解説付きでいじって戴いて。ウレピ!
「もう少し手前から仕掛け入れましょう、そうそう、その辺りです!ほら、仕掛けが馴染んできましたよ。ここでそっとウキを止める感じで糸を張って。そう!そこからまた1mくらい糸を送って、また張る、、お!当たった!」
「Σ(゚д゚;) ギョエツ!何かめっちゃ引くんですけどっ! あちゃちゃ!あ~~~、シモリの方へ行っちゃう~!だ!、、、」
「惜しいなぁ!アウトでしたか!?、残念ですねぇ!(笑)」
「...(ToT)。。。。今の、グレだったんでしょうかね?。。。。。。。。」
「チラッと姿が見えましたけど、グレでしたね、間違いなく。それも40cm位あったかも知れませんね~、残念です。」
「何がダメだったんですかね?つか、何にも出来ずに耐えるだけだったんですけど。」
「そりゃ深瀬さん(笑)、耐えるべき時に耐えるのも必要ですけど、ヤバイ時には糸を出しながら態勢を整えたり、竿をコントロールしながら魚の走る向きを変えたりしないと。」
「そっかぁ、そうですよね、、、前にこう見えて52cmの黒鯛釣った時にはこんなに走りませんでしたよ?重たいのは重たかったけど、全然動きが違ってて今のは大パニックでした。」
「黒鯛って魚はシモリの中に突っ込むような事はまず有りません。でもグレはそうゆう所で生活してますから当然、突っ込んで逃げようとするんです。なので掛けてからのあしらいはグレのほうが大変なんです。糸を切られるリスクも高いです。」
「なるほど、勉強になります。。。なりますが、今日はメッサ沢山の宿題もらいましたよ、ホントに。」
「経験ですよ経験。場数を踏んで考えて悩んで、コテンパンにやられてまた釣れて(笑)。次の楽しみが出来て良かったじゃないですか、また来て確かめないとね!さ、あと少し時間ありますよ、もう1度掛けましょう!」
「はい!」
撤収まであと10分位となりまして、山本さんはここに乗ってきてそんなに経ってもないのに、あれよあれよと言う間に6、7枚をゲット。しかも随分とオイラに時間割いてくれてましたのに。当のオイラはバラシ以来まだ1度も喰って来ません。刺し餌はコジコジされてるんですが微妙です。
「深瀬さん、最後にあと気持ち深めにして、今のシモリのもう一つ潮下を流してみましょうか。」
「あ、はい、有難うございます。」
祈るような気持ちで仕掛けを投入して、今日教えて頂いた事を一つ一つ確かめながら流していきました。流していたウキがシモリを通過しようとしたその時にスーッと糸を張って聞いてみました。
ウキはモゾッと水面下に沈み、ん?って思った瞬間、スパっと海中に突き刺さって行ったのでありまする!
「き、来た!来ました~~~~っ!」
「深瀬さん!頑張って一段下に降りましょう!そう、気をつけて!よし、竿先を海面近くに下げて引っ張って!そうそう!今度急に突っ込んだらすぐ糸を出せるようにして!いいぞいいぞ、一気に巻いて!竿を反対側に倒して、いいね!よし、そこは耐えて、、、うん、もう少しですよ、巻き上げましょう!浮いた!空気吸わせて、慌てないで!」
山本さんのアドバイスが聞こえてたのかどうか、覚えてもいませんが多分、こんな事言ってたような気がします。そのままお魚さんには空気を思う存分に吸って頂きながら、果たしてここからオイラはどうしたらいいのかが解りません。そしたら、
「はい、タモ!これで自分で救って。」と山本さん。え~っ!難しいっすよ、そんなこと言ったって~ヽ(;▽;)ノ って思ってみたりはしましたが、本日のお師匠様からの命令です、やってみなくちゃ。あ、でもバラシたら嫌だなぁ。。。。ってね。
「タモ伸ばして水面に入れて、そう、魚を頭から遊動して!もうシッカリ空気吸ってるから大丈夫。そうそう、はい!掬って!よっしゃ~~っ!獲れた~っ!はい、糸緩めて。」
エッコラサッと魚を磯の上に取り込めました(((o(*゚▽゚*)o)))やった~~っ!
「山本さん、有難うございます!釣れました~!」
「ホントに良かったですね!何か僕も嬉しいですよ(^O^)。40cmにはまだまだ届かないけど、僕のも入れて今日一じゃないですか。おめでとうございます!」
「初の磯釣り、一生忘れませんよ、今までの人生の中でもトップクラスの嬉しさです!」
「自分でちゃんとタモ入れもしたからね。余程じゃない限りタモ入れの基本は自分でする事です。漁師じゃないんですから一番最後までお魚さんにも逃げるチャンスを与えてあげなきゃ不公平だって思いますしね、それに親切心で人の魚を掬ってあげようとしてもそこでバラシちゃったらイヤじゃないですか、お互いに。でもね、頻繁にタモを手にすると掬うタイミングや技術もそれなりに上手くなるから、それでバラす事もなくなりますしね(笑)。」
「ですね!本当によく解りました、メッサ今日は充実の一日でした。」
やがて迎えの船が到着して無事に港に戻って来れました。
「深瀬さん、初挑戦はどやった?」
「最後の最後に1枚良い型のが釣れました!山本さんが来て下さらなかったら釣れてませんでしたよ、チビグレばかりで。」
「ほう!流石に山本名人やな(笑)、あの人はほんまによう釣るんさぁ、周りがダメやぁ言う時も大抵は魚持っとるんよ、ええ人と出会えて良かったやんか、な。またおいで、待ってるから(笑)。」
「是非!とりあえず来週にでも!(*゚▽゚*) 」
「だははは!すっかりはまったようやな!(爆) 海は逃げて行かんさかい、ボチボチでなぁハハハハハっ!」
かくしてオイラの磯釣りデビューは大成功に終わりました。いえいえ、終わったのではありませぬ。爆進のスタートだったのかも知れません。帰ったら次に備えての猛勉強やな!オッシャーっ!
つづく